地震保険で基礎のヒビは補償される?2回目のヒビ割れについても解説
最近、地震発生のニュースを耳にすることが非常に多くなりました。
その影響もあり、多くの方が地震被害に備えて「地震保険」に加入しているのではないでしょうか。
では、「建物自体には特に影響がなく、基礎の部分のみにヒビが入ってしまった」というような場合、地震保険の保険金は支払われるのでしょうか?
今回は「地震保険は基礎のヒビ割れのみでも補償の対象になるのか」や「2回目以降の基礎のヒビも補償の対象になるのか」について解説いたします。
- 基礎のヒビは地震保険で補償されるのか
- 補償対象になる場合とならない場合
- 申請をスムーズに行う方法
また、地震保険の申請方法については以下の記事で詳しく解説しております。この機会に参考にしていただけると幸いです。
【関連記事】:【地震保険】請求(申請)のコツ2つと流れ!請求期限や必要書類も徹底解説。
基礎にヒビがあると地震保険の対象になる可能性が高い
結論から言うと、基礎のヒビがあれば地震保険の対象になる可能性が高いです。
地震保険については、支払いの際に立ち会いによる損害の査定が必要になります。
その際に基礎のヒビが損害と認定された場合、保険金が支払われます。
損害と認定されるためには「全損」「大半損」「少半損」「一部損」という4つの基準のうち、どれかに該当しなければなりません。
それぞれ、「建物の時価の何%の損害が発生しているか」で算出され、具体的には下記の基準となります。
- 全損 :主要構造部の損害額が、建物の時価の50%以上
- 大半損 :主要構造部の損害額が、建物の時価の40%以上50%未満
- 少半損 :主要構造部の損害額が、建物の時価の20%以上40%未満
- 一部損 :主要構造部の損害額が、建物の時価の3%以上20%未満
したがって、地震により基礎にヒビが発生した場合でも、損害額が建物の時価の3%に達していない場合は支払いの対象とはなりませんのでご注意下さい。
【関連記事】:【地震保険の支払い例】支払い基準から支払いまでの期間も解説!
地震保険が基礎のヒビも対象になる建物の構造
基礎のヒビを損害として認定してくれるかどうかは、建物の構造によっても変わってきます。
なぜなら、損害保険協会が定める「地震保険損害認定基準」では、建物の主要構造部の範囲が建物の構造によって異なるからです。
つまり、主要構造部に基礎が入っていない構造の建物であれば、基礎にヒビが入っていても補償の対象外となります。
ここからは、どのような構造の建物の場合、基礎のヒビが対象となるのかについて解説していきます。
なお、地震保険損害認定基準では、木造建築を「在来軸組工法」と「枠組壁工法」の2つに分けていますが、わかりやすくするために「在来軸組工法」を「木造建築」、「枠組壁工法」を「ツーバイフォー」と言い換えて解説します。
木造建築は対象内
木造建築(在来軸組工法)は、柱や梁・筋交を組み合わせて軸組を作り、建物を軸で支える工法で作られた住宅のことを指します。
現在日本で最も多くの住宅が建てられている工法です。
木造建築の場合は、基礎が主要構造部に含まれますので、基礎のヒビも補償の対象となります。
ツーバイフォー(枠組み壁工法)は対象内
ツーバイフォー(枠組壁工法)は、従来の木造建築と違い、4面の壁と床、屋根の6枚の壁で建物を支える工法です。
従来の木造建築より工期が短くて済むなどのメリットがあります。
従来の木造建築と工法は異なりますが、ツーバイフォーも木造建築となりますので、基礎のヒビも補償対象となります。
鉄筋コンクリート造は対象外
鉄筋コンクリート造の建物は木造と違い、主に柱や梁、床・壁が鉄筋とコンクリートで構成されています。
木造と比較して耐火性が非常に高く、耐久性も高いというメリットがあります。
鉄筋コンクリート造の場合、主要構造部に基礎部分が含まれませんので、基礎のヒビが発生しても地震保険では対象外となります。
基礎のヒビは被害の大きさよりも「数」で査定される
そもそも基礎のヒビにはどのようなものがあるのでしょうか?
ヒビのことは「クラック」と呼び、下記の2つに分類されます。
- ヘアークラック: 幅0.3mm未満、深さ4mm未満のクラック。
- 構造クラック : 幅0.3mm以上、深さ4mm以上のクラック。
特に構造クラックについては、建物の強度自体に影響を及ぼす可能性もありますので、注意が必要です。
また、基礎のヒビについては「大きさよりも数で査定される」とも言われています。
保険金を請求する際には、ヘアークラックもしっかり確認しておきましょう。
- 「どの程度のクラックが対象となるのか」
- 「建物への影響はどのくらいあるのか」
またこれらの判断は素人目には難しいため、経験豊富なプロに調査をしてもらうのがおすすめです。
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基礎のヒビは2回目以降も地震保険へ申請できる?
ここまで、基礎のヒビが地震保険の補償対象になるのかについて解説してきました。
では、同じ建物に2回基礎のヒビが発生した場合は保険金を請求することはできるのでしょうか。
1回目の損害を修繕済みなら可能
1回目の請求のあと修繕を行った場合であれば、2回目以降も請求は可能です。
もし同じ場所にヒビが発生したとしても、1回目の修理の後の地震でできたヒビであれば問題はありません。
1回目のヒビを修理しておらず、その後の地震でそのヒビが大きくなってしまった場合については、1回目で支払済の保険金を差し引いての損害認定になる可能性が高いので注意しましょう。
ただし、1回目のヒビを修理していない場合は、再度請求しても前回の損害は差し引いての支払いになる可能性が高いです。
1回目の損害と別の箇所のクラックなら可能
1回目と別の場所に発生したクラックであれば、支払いの対象となりますので保険会社に請求が可能です。
ただ、クラックが軽微なものの場合、一部損と認定されない可能性もありますので、保険会社に請求する前にプロによる調査をしてもらうことをおすすめします。
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2回目以降のひび割れは火災保険での対応が可能?条件は?
一度火災保険を利用して基礎のひび割れ修繕を行った後、再度同様の損傷が発生した場合、「2回目以降も保険が適用できるのか?」という疑問を抱く方は少なくありません。
結論から言えば、2回目以降のひび割れでも、前回とは異なる自然災害が原因で新たな損害と判断されれば、再び火災保険を活用できる可能性があります。
ただし、そのためにはいくつかの条件や証明が必要となる点に注意しましょう。
外的要因で再び発生したことを証明する
まず、2回目のひび割れが初回の補償後に適切な修繕が行われ、しばらく問題なく生活できていたにもかかわらず、新たな台風や暴風雨、豪雪など別の外的要因で再び発生したことを示す必要があります。
つまり、「今回の被害は前回の延長線上ではなく、独立した新規の自然災害被害である」ことを立証できれば、再度保険請求が認められる可能性が高まります。
ですので、前回修繕時の領収書や施工完了報告、今回の被害発生前後の写真、動画記録など、時系列を明確に示す資料が重要です。
さらに、保険会社は「2回目以降の申請」を慎重に審査する傾向があります。
既に補償を受けているため、経年劣化や構造的欠陥による再発か、あるいは本当に別の災害原因での損害なのかを見極めなければなりません。
この際、専門家(ホームインスペクターや建築士)による調査報告書を添付すると、保険会社への説明がスムーズになります。
報告書には、ひび割れ発生時の気象条件、被害箇所の変化、建物全体のコンディションが記載され、前回補修後の状態との違いを客観的に示せます。
また、発生日時と同時期に近隣地域でも被害が報告されている場合は、客観的な裏付けとして有利に働きます。
自治体や気象台のホームページから当日の気象データを取得したり、近隣住民から被害証言を得ることも有効です。
これらのデータを整理し、「今回のひび割れは新たな自然災害による損傷」というストーリーを明確化することで、2回目以降の保険請求に対する保険会社の理解と納得を得やすくなります。
ですので、過去の修繕記録や客観的証拠、専門家の意見を揃え、正確な情報提供を心掛けることで適切な補償を受けることができるでしょう。
火災保険・地震保険適用に必要な書類と手続きの流れ
火災保険や地震保険を用いて、基礎のひび割れ修繕費用の負担軽減を図る場合、必要書類や手続きを正しく理解しておくことが重要です。
以下では、保険金請求をスムーズに進めるための基本的なステップと準備すべき書類を具体的に解説します。
1.加入保険内容の確認
保険証券や契約書類を手元に用意し、加入中の火災保険・地震保険がどの範囲で補償しているかを再チェックしましょう。
特約や補償範囲を再確認することで、今回のひび割れが対象となり得るか判断しやすくなります。
不明点があれば、保険会社や代理店へ直接問い合わせましょう。
2. 被害状況の記録
申請には、基礎ひび割れの状態を示す客観的な証拠が必要ですので、写真・動画でクラックの大きさ、位置、発生した時期を示せるよう記録しておきましょう。
また、発生日時が特定できるよう、新聞の日付入り写真、スマートフォンの撮影日付情報、周辺環境(落下物・強風による飛来物痕跡など)の記録も合わせて準備すると効果的です。
3. 専門家による調査報告書の取得
基礎ひび割れが保険適用範囲と判断されやすくなるには、ホームインスペクターや建築士、リフォーム業者などの専門家による調査報告書が有効です。
報告書には、ひび割れ発生原因(自然災害によるものかどうか)、建物構造への影響度、修繕にかかる費用見積もりなどが記載され、保険会社にとって説得力のある判断材料となります。
4. 見積書・修理費用の算定
修繕業者からの見積書は、保険金請求における重要な書類です。複数社から見積りを取り、費用相場を比較検討することで、過大請求や不当な値段設定を防ぐことができます。
この見積りは、保険金額算定の基準となるため、必ず保管しましょう。
5. 保険会社への連絡・書類提出
準備が整ったら、保険会社または代理店へ連絡し、申請手続きに必要なフォームや書類の案内を受けましょう。
基本的には、以下の書類が必要になります。
- 保険証券の写し
- 被害状況を示す写真・動画
- 専門家の調査報告書
- 修繕見積書
これらを保険会社指定の申請用紙とともに提出します。
不備があると手続きが遅れる可能性があるため、提出前に抜け漏れがないか最終確認しましょう。
6. 保険会社による審査・鑑定人立会い
書類審査後、必要に応じて保険会社の鑑定人が現地調査を行い、被害の妥当性を確認します。鑑定人立会い時には、記録しておいた写真や報告書をもとに、被害状況を丁寧に説明しましょう。
7. 保険金の支払い・修繕実施
最終的な承認が下りれば、保険金が支払われます。その後、保険金を活用して実際の修繕工事を行い、建物の安全性や資産価値を維持しましょう。
また、修理後の状況も写真などで記録しておくと、万が一再度被害が発生した場合にも役立ちます。
これらの手順を踏むことで、火災保険・地震保険を適用したスムーズな請求手続きが可能になり、基礎ひび割れ修繕のコスト負担軽減につなげられます。
まとめ:地震保険の申請はプロの力を借りることを推奨
今回の記事では、建物の基礎にヒビが入った場合でも地震保険は請求できるのかについて解説しました。
基礎のヒビが建物にどの程度の影響を与えるのかや、保険の請求ができるのかの判断は難しいので、信頼できるプロに依頼することをおすすめします。
ポイントまとめ
- 基礎のヒビでも地震保険の補償対象となる
- 建物の構造によって対象とならない場合もある
- 基礎のヒビが建物にどの程度影響があるのかの判断は難しい
- 調査や保険の請求はプロに依頼するのがおすすめ
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