子供が壊した壁紙も火災保険で補償されますか?

読了目安時間4分です。

目次

1.はじめに
2.火災保険の基本と家財補償・建物補償の違い
3.壁紙が補償対象となる条件
4.補償される主なケースとされないケース
5.保険金請求時の注意点
6.補償を受けるための備えと確認事項
7.おわりに

はじめに

子供が元気に遊ぶのは喜ばしいことですが、時には家の中の壁紙を破ったり、落書きをしてしまったりすることもあります。こうした「子供による壁紙の損傷」は、火災保険で補償されるのでしょうか?

本記事では、火災保険における壁紙の補償対象としての扱いや、補償されるための条件、注意点について詳しく解説します。

火災保険の基本と家財補償・建物補償の違い

火災保険は、主に「建物」と「家財」の2つの対象に分けて契約されます。壁紙は建物の一部とみなされるため、「建物補償」が契約に含まれていなければ補償の対象にはなりません。

  • 建物補償:住宅の構造部分(壁、床、天井、屋根など)や、壁紙・フローリングなどの内装材
  • 家財補償:家具、家電、衣類、日用品などの動産


つまり、壁紙の損傷については「建物補償」があるかどうかが重要なポイントとなります。

壁紙が補償対象となる条件

壁紙が火災保険で補償されるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 建物補償が契約に含まれていること
  • 火災、落雷、破裂・爆発、風災、水災、物体の衝突など、保険で定められた事故による損害であること
  • 偶然かつ突発的な事故であること(経年劣化や故意の損傷は対象外)


ただし、子供が遊んでいて壁紙を破ったり、落書きしたりした場合は、通常の火災保険では補償されないことが多く、補償を受けるには「破損・汚損等補償特約」などのオプションが必要です。

補償される主なケースとされないケース

補償されるケースの例:

  • 台風で飛来物が窓を突き破り、壁紙が破れた
  • 給排水設備の事故により水濡れで壁紙が剥がれた
  • 子供が誤って家具を倒し、壁紙が破れた(特約ありの場合)


補償されないケースの例:

  • 子供が壁紙に落書きした(特約なしの場合)
  • 子供が壁を蹴って壁紙を破った(特約なしの場合)
  • 経年劣化や自然な剥がれ
  • 故意または重大な過失による損害
  • 地震による損傷(地震保険が必要)

保険金請求時の注意点

壁紙の損害で保険金を請求する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 事故発生時の状況を正確に報告すること
  • 損害状況の写真を撮っておくこと
  • 修理見積書や修理不能証明書を取得しておくこと
  • 故意や重大な過失がないことを説明できるようにしておくこと

補償を受けるための備えと確認事項

  • 契約内容を見直し、「建物補償」が付帯されているか確認しましょう。
  • 「破損・汚損等補償特約」が付いているかを確認し、必要に応じて追加を検討しましょう。
  • 壁紙の修理費用が免責金額(自己負担額)を上回るかどうかも確認しましょう。
  • 高額な内装材を使用している場合は、保険会社に事前申告しておくとスムーズです。

おわりに

子供が壊した壁紙が火災保険で補償されるかどうかは、契約内容と事故の状況によって異なります。特に「破損・汚損等補償特約」の有無が補償の可否を左右する重要なポイントです。日常生活での思わぬトラブルに備えるためにも、今一度ご自身の保険契約を確認し、必要に応じて補償内容を見直すことをおすすめします。



執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/10/23