火災保険で防水工事はできる?3つの防水工事の種類とメリデメ特徴

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目次
1.屋上防水はなぜ重要なのか
2.屋上防水の劣化リスク
3.屋上防水工事の種類と特徴
4.シート防水:メリットとデメリット
5.ウレタン防水:メリットとデメリット
6.アスファルト防水:メリットとデメリット
7.屋上防水の修繕費用相場
8.火災保険が適用されるケース
9.火災保険の申請方法
10.申請時の注意点
11.保険金を受け取った後
12.まとめ:火災保険を有効活用するために
屋上防水はなぜ重要なのか
建物を雨水から守る上で、屋上や屋根の防水機能は非常に重要な役割を果たします。屋上の防水層は、紫外線や雨風に常にさらされており、時間の経過とともに劣化していきます。この防水層が正しく機能することで、建物内部への水の浸入を防ぎ、構造体の強度を維持し、建物の寿命を延ばすことにつながります。
屋上防水の劣化リスク
屋上防水の劣化を放置すると、様々なリスクを招きます。
1) 雨漏りの発生:防水層のひび割れや剥がれから雨水が浸入し、天井や壁に雨染みが発生します。
2) 建物の耐久性低下:雨水がコンクリートの内部にまで達すると、鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートにひび割れや剥離を引き起こす可能性があります。これにより建物の耐久性が著しく低下します。
3) 高額な修繕費用:雨漏りが進行すると、修繕範囲が広がり、補修費用が高額になります。
屋上防水工事の種類と特徴
屋上防水工事には主に3つの工法があります。それぞれの特徴を理解することで、建物の状態や予算に合った選択ができます。
1) シート防水:合成ゴムや塩化ビニール製のシートを貼り付ける工法です。施工が比較的簡単で、工期が短いのが特徴です。
2) ウレタン防水:液状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成する工法です。複雑な形状の場所にも施工が可能です。
3) アスファルト防水:アスファルトと防水シートを重ねて防水層を形成する工法です。耐久性が非常に高く、信頼性の高い工法として知られています。
シート防水:メリットとデメリット
シート防水のメリットは、コストが比較的安く、工期も短期間で済む点です。また、軽量で建物に負担をかけにくいのも特徴です。しかし、シートとシートのつなぎ目が弱点となりやすく、強風などでめくれやすいというデメリットもあります。
ウレタン防水:メリットとデメリット
ウレタン防水のメリットは、下地の形状に左右されずに施工できる柔軟性がある点です。また、つなぎ目がなく、防水層に隙間ができにくいのも利点です。一方で、職人の技術によって仕上がりに差が出やすく、乾燥に時間がかかるため工期が長くなる傾向があります。
アスファルト防水:メリットとデメリット
アスファルト防水のメリットは、何よりもその耐久性の高さです。長期にわたって防水性能を維持でき、信頼性が高いのが特徴です。また、耐候性にも優れています。しかし、施工時にアスファルトを熱するため、特有の臭いが発生し、また重量があるため、建物の構造によっては適さない場合があります。
屋上防水の修繕費用相場
屋上防水の修繕費用は、使用する工法や建物の規模によって異なりますが、一般的に1平方メートルあたり7,000円から14,000円程度が相場とされています。マンションなどの大規模な建物の場合、足場代なども含めると、修繕費用は100万円を超えるケースがほとんどです。この高額な費用が、修繕をためらう原因の一つにもなっています。
火災保険が適用されるケース
火災保険は火災による損害だけでなく、風災、雪災、雹災などの自然災害による損害も補償します。屋上防水の損害も、これらの自然災害が原因で発生した場合、火災保険の補償対象となる可能性があります。ただし、長年の使用による経年劣化は補償の対象外となります。
火災保険の申請方法
火災保険を申請する際は、以下のステップを踏むのが一般的です。
1) 損害発生後、速やかに保険会社に連絡
2) 損害箇所の写真を撮影し、被害状況を記録
3) 修繕費用の見積もりを取得
4) 必要書類を準備し、保険会社に提出
保険金請求書、事故内容報告書、修理見積書、損害を証明する写真などが必要となります。
申請時の注意点
火災保険の保険金請求にはいくつか注意点があります。
1) 申請期限:保険法により、損害が発生した日から3年以内に請求する必要があります。
2) 経年劣化との判断:自然災害による損害か、経年劣化によるものかの判断が難しい場合があるため、専門家の意見が重要となります。
3) 複数回の申請:損害が発生するたびに、何度でも保険金を申請することが可能です。
保険金を受け取った後
保険金を受け取った場合、保険料が上がることはありません。また、個人の建物所有者であれば、受け取った保険金は原則として非課税となります。法人所有の場合は課税対象となる場合がありますので、確認が必要です。受け取った保険金の使い道は自由ですが、災害からの復旧に充てることが、本来の目的です。
まとめ:火災保険を有効活用するために
屋上防水は建物を守る上で不可欠なメンテナンスです。その高額な修繕費用に対し、火災保険を賢く活用することで、経済的な負担を大きく軽減できる可能性があります。
1) 日頃から建物の状態を確認し、異常がないかチェックする
2) 損害が発生したら、すぐに保険会社に連絡し、申請を検討する
3) 自然災害による損害と経年劣化の判断に迷ったら、専門家へ相談する
適切な保険契約と迅速な対応によって、災害による不測の事態にも安心して備えることができます。
執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/9/2