落雷による被害は火災保険で補償される?正しい備えと活用術

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近年、局地的な雷雨が増加する中、建物や電化製品に甚大な被害をもたらす落雷(雷サージ)への備えは不可欠です。「火災保険は火事の時しか使えない」と思われがちですが、実は多くの火災保険に付帯する落雷補償で、これらの被害がカバーされます。

この記事では、「火災保険と落雷」の関係を徹底解説します。特に被害が広範囲に及ぶ「雷サージ」による家電故障の補償範囲、保険申請が可能な具体例、そして万が一に備えるためのチェックリストをご紹介します。保険金を無駄にせず、大切な財産を守るための知識を身につけましょう。

目次

1.落雷被害の現状と火災保険の基本的な役割
 1.1.落雷の主な種類
 1.2.災保険の基本補償に落雷が含まれる理由
2.火災保険で落雷の被害が補償されるケース(具体例)
 2.1.建物への物理的な損害
 2.2.雷サージによる電気的・機械的損害
3.【重要】補償対象外となるケースと注意点
 3.1.火災保険では補償されない費用と免責金額
 3.2.家財補償の有無の重要性
4.落雷被害発生時の火災保険申請と事前対策
 4.1.被害に気づいたらすぐに行うべきこと
 4.2.適切な申請には専門家への相談が有効
5.まとめ:落雷の備えは火災保険の見直しから


落雷被害の現状と火災保険の基本的な役割

落雷の主な種類

落雷による被害には、建物に直接雷が落ちる「直撃雷」による火災や物理的な破損だけでなく、「雷サージ」による電気的被害があります。雷サージとは、落雷時に発生する異常な過電圧や過電流が、電力線や通信線を通じて建物内に侵入し、コンセントにつながっている家電や電子機器を破壊する現象です。

直接の落雷がなくても、近くに雷が落ちるだけで雷サージの被害は発生するため、近年、これに伴う電気的被害が各地で多発しています。

災保険の基本補償に落雷が含まれる理由

「火災保険」という名称ですが、多くの保険商品では、火災、風災、雪災、ひょう災などと並んで「落雷」による損害が基本の補償に含まれています。これは、落雷が予測不能な自然現象であり、火災の原因ともなるためです。

この落雷補償は、保険の名称に反して、火災に至らない家電の故障や建物の破損も広くカバーする役割を持っています。

火災保険で落雷の被害が補償されるケース(具体例)

火災保険の落雷補償の対象となる具体的な被害は、大きく分けて二種類あります。

建物への物理的な損害

落雷が建物に直撃したことにより、構造や設備に物理的な損傷が生じた場合です。

  • 屋根や外壁、基礎の破損
  • アンテナや雨どいなど付属物の損傷
  • 落雷による火災が発生した場合の建物全体の損害

雷サージによる電気的・機械的損害

雷サージが原因で、住宅内の電化製品や設備が故障した場合です。これは、外見から判断しにくいため見落とされがちです。

  • 家電製品の故障: テレビ、パソコン、冷蔵庫、ルーター、エアコンなどの電子基板が雷サージで焼損・破損したケース。
  • 住宅設備機器の破損: 給湯器、IHクッキングヒーター、エコキュート、太陽光発電システムなどの制御盤が故障したケース。


補償を受けるには、故障の原因が「落雷による雷サージ」であることを証明する必要があります(修理業者による所見など)。

【重要】補償対象外となるケースと注意点

火災保険で落雷被害をカバーする際には、以下の点に注意が必要です。

火災保険では補償されない費用と免責金額

  • 消耗品やデータの破損: バッテリー、電球などの消耗品の費用や、パソコン内のデータが消失した際の復旧費用は原則として補償対象外です。
  • 免責金額の適用: 契約内容によっては、損害額から免責金額(自己負担額)を差し引いた金額が支払われます。修理費用の総額が免責金額を下回る場合は、保険金は支払われません。

家財補償の有無の重要性

落雷による被害が「家電」や「家具」などの家財に及んだ場合、建物に対する火災保険契約だけでは補償されません。

高価なテレビ、パソコン、最新のゲーム機などが多い場合は、建物と合わせて「家財」に対する補償を別途契約しているかを必ず確認しておく必要があります。

落雷被害発生時の対策と火災保険申請

被害に気づいたらすぐに行うべきこと

落雷による被害は、発生から時間が経つと原因の特定が難しくなります。身の安全を確保した上で、落ち着いて、正しい手順で手続きを行うことが重要です。

  1. 安全の確保: 感電の危険がある場合は、絶対に機器に触らない。
  2. 保険会社への連絡: 被害の大小にかかわらず、契約している保険会社に連絡し、補償の対象となるか相談する。
  3. 被害状況の記録: 故障した機器や建物の損傷箇所を写真や動画で記録しておく。修理業者による「雷サージが原因である」との診断書や修理見積書を準備する。


また日ごろから、 建物と家財の両方が落雷補償の対象か、免責金額はいくらか等の契約内容を確認しておくことも重要です。

適切な申請には専門家への相談が有効

落雷による損害、特に雷サージ被害は、「本当に雷が原因か」の特定が非常に難しく、保険会社への説明や証明に専門知識を要します。

保険申請の専門家に相談することで、雷サージによる損害を適切に調査・証明し、煩雑な書類作成や保険会社との交渉をスムーズに進めることが可能になります。

まとめ:落雷の備えは火災保険の見直しから

落雷は予測不能であり、建物だけでなく生活に不可欠な家電製品まで一瞬で破壊する可能性があります。火災保険の「落雷補償」を最大限活用するためには、建物と家財の両方が補償対象になっているかを今一度確認し、不安な点があれば専門家に相談することが、安心できる住まいを守るための賢い活用術と言えます。

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執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/9/3