「家財保険」と「火災保険」の違いを徹底解説

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目次

1.火災保険と家財保険の基本的な違い
 1.1.火災保険の定義と補償範囲
 1.2.家財保険の定義と補償範囲
2.【重要】補償対象の明確な区分け
 2.1.「建物」の定義(火災保険の主な対象)
 2.2.「家財」の定義(家財保険の対象)
3.住居形態別:必要な保険の選び方
 3.1.持ち家(一戸建て・分譲マンション)の場合
 3.2.賃貸住宅(借主)の場合:家財保険が必須の理由
4.家財保険に付帯される重要な「特約」
 4.1.賃貸物件に必須の「借家人賠償責任保険」
 4.2. 日常生活を守る「個人賠償責任保険」
5.適切な保険金額の設定と加入時の注意点
 5.1.保険金額の決め方:簡易評価と積算評価
 5.2.加入時に気をつけたい二つのポイント
6.まとめ:火災保険と家財保険の賢い選び方


火災保険と家財保険の基本的な違い

火災保険と家財保険は、どちらも火災や自然災害から財産を守るための保険ですが、その違いは「何を補償の対象とするか」という点に集約されます。

火災保険の定義と補償範囲

火災保険は、火災・落雷・爆発・風災・水災・盗難など、幅広いリスクによる損害を補償する保険です。

  • 主な契約対象: 「建物」 および 「家財」。契約者はこの両方、またはどちらか一方を補償対象として選択できます。
  • 「建物」の補償内容: 住宅本体、外壁、屋根、門、塀、給湯設備、カーポートなど、土地に定着した構造物が対象です。

家財保険の定義と補償範囲

家財保険とは、火災保険の補償対象のうち「家財」のみを対象とした契約です。

補償対象: 家具、家電、衣類、食器、自転車など、住宅内の動かせる生活用品全般が対象となります。
特徴: 建物は含まれず、室内の動産に限定されるため、賃貸住宅の借主など建物に所有権がない人が加入するケースが一般的です。

【重要】補償対象の明確な区分け

火災保険と家財保険の境界線を理解するために、「建物」と「家財」の具体的な定義を把握しておくことが重要です。

「建物」の定義(火災保険の主な対象)

建物とは、土地に定着しており、動かすことのできない構造物を指します。

例: 基礎、柱、壁、屋根、床、門、塀、車庫(カーポート)、給湯器、浴槽、システムキッチンなど。

「家財」の定義(家財保険の対象)

家財とは、生活に必要な動産(動かせるもの)を指します。

例: テレビ、冷蔵庫、エアコン(移動できるもの)、ソファ、テーブル、衣類、食器、パソコン、自転車、趣味で集めたコレクションなど。


例外: エアコンや照明器具でも、壁にねじで固定されており取り外しが困難なものは「建物」として扱われる場合があります。判断に迷う場合は保険会社に確認が必要です。

住居形態別:必要な保険の選び方

持ち家(一戸建て・分譲マンション)の場合

持ち家の場合は、財産を完全に守るために、「建物」と「家財」の両方を補償対象とする火災保険に加入するのが一般的です。

  • 建物を守るため(ローン契約時にも必須)
  • 高額な家電や家具、衣類を災害から守るため

賃貸住宅(借主)の場合:家財保険が必須の理由

賃貸住宅の場合、建物の火災保険は大家(オーナー)が加入しているため、借主が加入する必要はありません。借主が自ら加入すべきなのは「家財保険」です。

  • 自分の所有物である家具や家電を守るため。
  • さらに、契約時に必須とされることが多い「借家人賠償責任保険」を付帯させるためです。

家財保険に付帯される重要な「特約」

特に賃貸住宅の契約時や、日常生活の安心のために、家財保険に付帯されることが多い重要な特約があります。

賃貸物件に必須の「借家人賠償責任保険」

借主が火災や水漏れなどを起こし、借りている建物自体に損害を与えてしまった場合に、大家に対して負う法律上の賠償責任を補償します。賃貸契約にはほぼ必須とされる特約です。

日常生活を守る「個人賠償責任保険」

日常生活において、誤って他人の物を壊したり、他人にケガを負わせてしまった場合の損害賠償責任を補償します。これは火災事故だけでなく、自転車事故や買い物中のトラブルなど、幅広い賠償リスクに備えることができる非常に汎用性の高い特約です。

適切な保険金額の設定と加入時の注意点

保険金額の決め方:簡易評価と積算評価

家財保険の保険金額は、所有する家財をすべて買い直すのにかかる費用(再調達価額)を基準に設定します。

  • 簡易評価: 世帯主の年齢や家族構成、専有面積などに応じた目安額を基に算出する方法。
  • 積算評価: 所有する家財を一つ一つリストアップして合計する方法。

加入時に気をつけたい二つのポイント

  1. 高額品は「明記物件」として申告: 貴金属や美術品など、一つが30万円を超える高額な家財は、契約時に「明記物件」として保険会社に申告しないと、万が一の際に補償されない可能性があるため注意が必要です。
  2. 地震による損害は地震保険で補償: 火災保険や家財保険では、地震・噴火・津波を原因とする損害(火災を含む)は補償対象外です。地震リスクに備えるには、地震保険への別途加入が必須となります。

まとめ:火災保険と家財保険の賢い選び方

火災保険と家財保険は、補償対象が「建物」と「家財」で明確に分かれています。

住居形態おすすめの選び方
持ち家建物と家財の両方を補償する火災保険に加入し、地震保険をセットする。
賃貸住宅家財保険に加入し、借家人賠償責任保険個人賠償責任保険を付帯させる。

ご自身の生活スタイルと住居形態に合わせて適切な保険を見直し、無駄なく安心できる備えを整えましょう。

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執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/9/9