火災保険とクレジットカード付帯保険で補償範囲に重複はありますか?

読了目安時間は4分です。

目次

1.はじめに
2.火災保険とは何か
3.クレジットカード付帯保険とは
4.両者の補償対象の違い
5.補償範囲の重複はあるのか?
6.重複時の保険金請求の注意点
7.実際の事例から見る補償の使い分け
8.保険会社の見解
9.業界団体のガイドライン
10.政府機関の説明
11.まとめと今後の備え方

はじめに

「火災保険」と「クレジットカード付帯保険」の両者を契約している場合、補償が重複するのでは?という疑問を持つ方も多いでしょう。本記事では、その補償範囲の違いや重複の有無、実際の活用方法について解説します。

火災保険とは何か

火災保険は、住宅や家財が火災・落雷・爆発などの災害によって損害を受けた際に補償する保険です。

1.主な補償対象
・建物(住宅)
・家財(家具、家電など)

2.補償される災害
・火災
・落雷
・破裂・爆発
・風災・水災(契約内容による)

クレジットカード付帯保険とは

クレジットカードに付帯する保険は、カード利用者が旅行中や買い物中に被る損害を補償するものです。火災保険とは性質が異なります。

1.主な補償内容
・旅行傷害保険(国内・海外)
・ショッピング保険(購入品の破損・盗難)
・一部カードでは家財保険が付帯する場合も

2.利用条件
・カードで支払った場合のみ補償対象となるケースが多い

両者の補償対象の違い

火災保険は「住まいと家財」に対する補償であり、クレジットカード付帯保険は「カード利用に関連する損害」に対する補償です。基本的には補償対象が異なるため、重複するケースは限定的です。

補償範囲の重複はあるのか?

一部のケースでは、補償が重複する可能性があります。

1.家財の損害
・火災保険:家財全般を補償
・カード付帯保険:購入品の破損・盗難を補償(ショッピング保険)

2.旅行中の損害
・火災保険:旅行中の家財損害は対象外
・カード付帯保険:旅行中の事故や盗難に対応


ただし、補償の条件や限度額が異なるため、実際には「補完関係」にあると考えるのが妥当です。

重複時の保険金請求の注意点

複数の保険で補償対象となる場合、保険金の請求には注意が必要です。

1.二重請求は不可
・同一損害に対して複数の保険から保険金を受け取ることは原則できません。

2.先にどちらかに請求
・火災保険が主契約である場合、まず火災保険に請求するのが一般的です。

3.保険会社間の調整
・保険会社同士で調整が行われることもあります。

実際の事例から見る補償の使い分け

例えば、購入したテレビが火災で焼失した場合:

・火災保険:家財として補償
・カード付帯保険:購入後一定期間内であればショッピング保険で補償される可能性あり


このように、状況によってどちらの保険が適用されるかが変わります。

保険会社の見解

多くの保険会社は「補償範囲の重複は限定的であり、補完的に利用することが望ましい」としています。火災保険は生活基盤を守る保険であり、クレジットカード付帯保険は一時的・限定的な補償を提供するものです。

業界団体のガイドライン

一般社団法人日本損害保険協会は、複数の保険契約がある場合の保険金請求について「重複する補償は調整される」と明記しています。保険契約者は、契約内容をよく確認し、適切な請求を行うことが推奨されています。

政府機関の説明

金融庁は、保険契約に関する情報提供の中で「複数の保険契約による補償は、契約内容に基づき調整される」としています。消費者は、契約時に補償範囲や条件を十分に理解することが重要です。

まとめと今後の備え方

火災保険とクレジットカード付帯保険は、補償範囲が異なるため、重複は限定的です。両者をうまく使い分けることで、より安心な生活を送ることができます。契約内容を定期的に見直し、必要に応じて補償を強化することが、賢い備え方と言えるでしょう。



執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/10/3