火災保険と自動車保険で補償範囲に重複はありますか?

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目次

1.はじめに
2.火災保険と自動車保険の基本的な違い
3.補償の重複とは何か
4.よくある重複のケース
5.自動車保険における重複しやすい特約
6.火災保険との重複が起こる特約
7.重複によるデメリット
8.重複してもメリットがある場合
9.重複を避けるためのチェックポイント
10.保険会社・業界団体の対応
11.家族構成や生活環境の変化に注意
12.まとめと今後の対策

はじめに

保険は万が一の備えとして欠かせない存在ですが、複数の保険に加入することで「補償の重複」が起こることがあります。今回は、火災保険と自動車保険における補償範囲の重複について、具体例を交えながら解説します。

火災保険と自動車保険の基本的な違い

1.火災保険は、建物や家財が火災・風水害・盗難などで損害を受けた場合に補償する保険です。
2.自動車保険は、交通事故による損害や賠償責任を補償する保険で、車両保険や人身傷害保険などの特約が含まれます。
3.両者は補償対象が異なるため、基本的には重複しないように思われがちですが、特約の内容によっては重複が生じることがあります。

補償の重複とは何か

補償の重複とは、複数の保険契約により、同じ損害に対して複数の補償が存在する状態を指します。これは「完全重複」と「不完全重複」に分類され、保険料の無駄や補償の過剰につながることがあります。

よくある重複のケース

1.家族で複数台の車を所有している場合、それぞれの自動車保険に同様の特約を付けると重複が発生します。
2.火災保険と自動車保険の両方に「個人賠償責任特約」などを付けている場合も、補償が重複する可能性があります。

自動車保険における重複しやすい特約

1.人身傷害保険(車内・車外補償タイプ)
2.弁護士費用補償特約
3.ファミリーバイク特約
4.個人賠償責任特約


これらは「一家にひとつ」で十分な補償が得られるため、複数契約に付帯すると無駄になります。

火災保険との重複が起こる特約

火災保険にも「個人賠償責任特約」や「弁護士費用補償特約」が付けられる場合があり、自動車保険と同様の補償内容になることがあります。これにより、同じ事故に対して複数の保険から補償を受けることができる一方、保険料が無駄になる可能性もあります。

重複によるデメリット

1.保険料の無駄
2.補償金額が合算されない場合、片方の保険からしか支払われない
3.保険内容の把握が複雑になり、事故時の対応が遅れる可能性がある

重複してもメリットがある場合

1.補償金額が合算されるケース(定額保険など)
2.補償範囲が広がることで安心感が増す


ただし、これらは契約内容によるため、事前に確認が必要です。

重複を避けるためのチェックポイント

1.保険証券を確認し、補償内容を比較する
2.家族内で加入している保険を一覧化する
3.保険会社や代理店に相談し、重複の有無を確認する

保険会社・業界団体の対応

一般社団法人日本損害保険協会では、補償重複の防止に向けたガイドラインを策定しています。保険会社はこれに基づき、契約時に補償内容の説明や意向確認を行うよう求められています。

家族構成や生活環境の変化に注意

1.子供の独立や結婚による別居
2.車の売却や買い替え
3.引っ越しによる火災保険の変更


これらの変化により補償範囲が変わるため、定期的な見直しが必要です。

まとめと今後の対策

火災保険と自動車保険は基本的に異なる目的で設計されていますが、特約の内容によっては補償が重複することがあります。重複による無駄を避けるためには、契約内容の確認と定期的な見直しが不可欠です。保険は「安心」を得るためのもの。だからこそ、賢く選び、無駄なく備えることが大切です。


執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/10/3