新築でひび割れなどを見つけたらどうすれば良いですか?

読了目安時間は5分です。

目次

1.はじめに
2.新築でもひび割れは起こる
3.ひび割れの種類と見分け方
4.原因を探る:自然現象か施工不良か
5.まず確認すべき3つのポイント
6.施工業者への相談と交渉
7.瑕疵担保責任と保証制度
8.火災保険・地震保険の適用条件
9.保険申請の流れと必要書類
10.専門家に相談するメリット
11.放置するとどうなる?
12.まとめと今後の備え

はじめに

新築住宅にひび割れを見つけたとき、多くの方が「新築なのに?」と驚き、不安を感じることでしょう。この記事では、ひび割れの原因や対応方法、保険や保証制度の活用法まで、実際に役立つ情報をわかりやすく解説します。

新築でもひび割れは起こる

新築住宅であっても、ひび割れは決して珍しい現象ではありません。施工直後の乾燥収縮や地盤の沈下、気温差などが原因で、コンクリートや外壁に細かなクラックが入ることがあります。これは自然現象によるもので、必ずしも欠陥とは限りません。

ひび割れの種類と見分け方

1.ヘアークラック:幅0.3mm未満、深さ4mm未満の細いひび割れ。構造上の問題は少なく、美観の問題が中心。
2.構造クラック:幅0.3mm以上、深さ4mm以上。耐久性や安全性に影響する可能性があり、早急な対応が必要です。


ひび割れの幅や深さを測ることで、対応の緊急度を判断できます。

原因を探る:自然現象か施工不良か

ひび割れの原因は大きく分けて以下の通りです。

1.地震や台風などの自然災害
2.地盤の不同沈下
3.乾燥収縮(コンクリートの水分蒸発)
4.施工不良(締固め不足、材料分離など)
5.経年劣化(新築でも起こり得る)


原因によって対応方法や責任の所在が変わるため、正確な診断が重要です。

まず確認すべき3つのポイント

1.ひび割れの大きさと位置を記録する
2.地盤調査の結果を施工業者に確認する
3.写真や動画で損傷状況を記録する


これらの情報は、施工業者や保険会社との交渉時に重要な証拠となります。

施工業者への相談と交渉

施工業者に補修を求める際は、以下の点を確認しましょう。

1.保証期間内かどうか
2.美観上の問題か構造上の問題か
3.瑕疵担保責任の範囲に該当するか


構造クラックであれば、施工業者に補修を求める正当な理由になります。

瑕疵担保責任と保証制度

新築住宅には「住宅品質確保促進法」に基づき、構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分について、引渡しから10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。これにより、施工不良によるひび割れは無償で補修される可能性があります。

火災保険・地震保険の適用条件

火災保険や地震保険は、自然災害による損傷に対して補償される場合があります。

1.火災保険:台風・豪雨・落雷などが原因の場合に適用
2.地震保険:震度4以上の地震による損傷が対象(木造住宅など)
3.経年劣化や施工不良は対象外


保険会社の判断基準は契約内容によって異なるため、事前確認が必要です。

保険申請の流れと必要書類

保険申請には以下の書類が必要です。

1.保険証券
2.損傷箇所の写真
3.修繕見積書
4.鑑定人の報告書
5.被災状況の説明書類


申請期限は損害発生日から3年以内。鑑定人による現地調査が保険金支払いの可否に大きく影響します。

専門家に相談するメリット

ホームインスペクターや建築士などの専門家に相談することで、以下のメリットがあります。

1.ひび割れの原因を正確に診断
2.補修の必要性と方法を提案
3.保険申請や業者交渉のサポート


専門家の意見は、第三者としての信頼性が高く、交渉を有利に進める材料になります。

放置するとどうなる?

ひび割れを放置すると、以下のリスクがあります。

1.雨水の侵入による鉄筋の錆び
2.耐震性の低下
3.地盤沈下による建物の傾き
4.シロアリやカビの発生


特に構造クラックは、住宅全体の安全性に関わるため、早期対応が不可欠です。

まとめと今後の備え

新築住宅でもひび割れは起こり得ます。重要なのは、原因を見極め、適切な対応を取ることです。施工業者や保険会社との交渉には、記録と専門家の診断が有効です。今後のためにも、定期的な点検と記録を習慣化し、万が一に備えましょう。


執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/10/3