地震の発生傾向は、都道府県別で特徴はありますか?

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目次
1.はじめに
2.地震の発生メカニズムと日本の地理的特徴
3.都道府県別の地震発生傾向
4.地震被害と地域特性
5.おわりに
はじめに
日本は世界有数の地震多発国であり、地震は日常的に発生しています。特に震度5以上の地震は人的・物的被害をもたらす可能性が高く、地域によってその発生頻度や被害の傾向には違いがあります。本稿では、地震本部や気象庁、保険業界団体の統計をもとに、都道府県別の地震発生傾向とその特徴について考察します。
地震の発生メカニズムと日本の地理的特徴
1) 地震の発生メカニズム
地震は、地殻内の断層が急激にずれることで発生します。日本列島は4つのプレート(ユーラシア、北米、太平洋、フィリピン海)が交差する場所に位置しており、プレート境界型地震や内陸型地震が頻繁に発生します。
2) 地理的特徴と地震分布
日本では、太平洋沿岸や内陸部の活断層周辺で地震が多く発生します。特に東北地方から関東、中部、九州にかけては活断層が密集しており、地震のリスクが高い地域です。また、南海トラフや日本海溝などの海溝型地震も大きな被害をもたらす可能性があります。
都道府県別の地震発生傾向
1) 地震回数が多い県
地震本部の統計によると、過去10年間で震度1以上の地震回数が多い都道府県は以下の通りです。
- 福島県:宮城県・岩手県・茨城県:東日本大震災以降、余震や関連地震が多発。
- 熊本県:2016年の熊本地震以降、活発な地震活動が継続。
- 石川県:2024年の能登半島地震により、震度7を含む多数の地震が発生。
これらの地域は、過去に大規模地震が発生しており、地震活動が活発な傾向があります。
2) 地震が少ない県
一方で、愛知県や長崎県、佐賀県などは震度5以上の地震の観測が少なく、地震活動が比較的穏やかな地域とされています。ただし、これは過去の傾向であり、将来的な地震リスクが低いとは限りません。
3) 地震の種類による傾向
内陸型地震が多い地域としては、長野県や岐阜県が挙げられます。これらの地域では、活断層による地震が頻発しており、局地的な強い揺れが特徴です。海溝型地震の影響を受けやすい地域としては、静岡県や高知県、宮崎県などがあり、津波のリスクも高いとされています。
地震被害と地域特性
1) 保険金支払額の傾向
日本損害保険協会の統計によると、地震保険の支払額が多い県は、過去に大規模地震が発生した地域に集中しています。特に宮城県、熊本県、福島県では、地震保険の支払件数・金額ともに高く、地震リスクの高さが反映されています。
2) 地震保険の加入率
損害保険料率算出機構のデータによると、地震保険の加入率は地域によって大きく異なります。加入率が高い県は、過去に震災を経験した地域(宮城県、熊本県、高知県など)であり、防災意識の高さがうかがえます。一方で、東京都や長崎県などでは加入率が全国平均を下回っており、都市部や地震発生が少ない地域では備えが不十分な傾向があります。
3) 都市部のリスク
都市部では、地震による建物倒壊や火災、ライフラインの寸断などの二次災害が懸念されます。特に東京や大阪などの大都市では、人口密度が高いため、地震による人的被害が拡大する可能性があります。耐震化の進捗状況や避難体制の整備が重要です。
おわりに
地震は日本全国で発生する可能性がある自然災害ですが、その傾向や被害の程度には都道府県ごとの違いがあります。特に東北地方や九州地方では、過去の大地震の影響で地震活動が活発であり、備えが不可欠です。一方で、地震が少ない地域でも、将来的なリスクに備える必要があります。気象庁や地震本部、保険業界のデータを活用し、地域ごとの特性に応じた防災対策を講じることが、地震による被害を最小限に抑える鍵となるでしょう。
執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/10/7