屋根のリフォームの流行、費用を教えてください。

読了目安時間は6分です。

屋根リフォームの背景と注目の理由

近年、住宅のリフォーム市場は大きな変化を迎えています。特に屋根のリフォームは、住まいの安全性・快適性・省エネ性能を左右する重要な工事として注目されています。

屋根は、雨風や紫外線から建物を守る最前線に位置するため、劣化が進むと雨漏りや断熱性能の低下、さらには構造材の腐食など、住まい全体に影響を及ぼします。特に築30年以上の住宅では、屋根材の寿命が尽きているケースも多く、定期的な点検とリフォームが不可欠です。

また、地震や台風などの自然災害が頻発する日本では、屋根の耐震性・耐風性の強化が求められています。国土交通省や地方自治体も、屋根の耐震改修や省エネ性能向上に対する補助制度を拡充しており、今こそ屋根リフォームに取り組む好機といえるでしょう。

2025年の屋根リフォーム市場では、以下のようなトレンドが顕著になっています。

1）高機能・高耐久屋根材の普及
屋根材の進化が著しく、断熱性・遮熱性・耐久性を兼ね備えた製品が主流となっています。たとえば、遮熱塗料を施した金属屋根や、太陽光発電と蓄電池を一体化したスマート屋根材などが登場し、エネルギー効率の高い住まいづくりが可能になっています。

2）エコ・省エネリフォームの加速
2050年のカーボンニュートラル目標に向けて、屋根断熱や太陽光発電の導入が推進されています。国の補助金制度を活用すれば、初期費用を抑えつつ、長期的な光熱費削減が期待できます。

3）空き家活用と屋根改修の連動
空き家問題の解決策として、屋根のリフォームを含む再生工事が注目されています。自治体の「空き家バンク」制度や、リノベーション支援策により、屋根の葺き替えや断熱強化が進められています。

4）スマートホーム化との融合
IoT技術を活用した屋根メンテナンスが普及しつつあります。たとえば、雨漏りセンサーや温度管理システムを屋根に組み込むことで、異常を早期に検知し、メンテナンスの自動化が可能になります。

5）デザイン性の向上
屋根材のカラーバリエーションや質感の選択肢が増え、外観の美しさを重視するリフォームが増加しています。特に都市部では、モダンなデザインの屋根材が人気を集めています。

屋根リフォームの費用は、工法や屋根材によって大きく異なります。以下は2025年時点の代表的な費用相場です（建坪20坪／屋根面積約70㎡の場合）。

1）工法別の費用相場
・屋根塗装：20～40万円（美観維持が目的）
・屋根カバー工法：80～110万円（既存屋根の上に新しい屋根材を重ねる）
・屋根葺き替え：120～190万円（既存屋根材を撤去し新しく張り替える）

2）屋根材別の費用相場（葺き替え工事）
・トタン：120～140万円
・スレート（石綿無）：120～150万円
・瓦：130～160万円
・スレート（石綿有）：160～190万円
・土葺き瓦：190～210万円

3）補助金制度の活用
国土交通省や自治体が提供する補助金制度を活用すれば、最大で工事費の80％（上限100万円）まで補助されるケースもあります。主な対象は以下の通りです。

・長期優良住宅化支援（屋根の軽量化・補修）
・耐震改修支援（屋根の耐震性能向上）
・省エネ対策支援（遮熱塗料・断熱材の導入）
・災害復旧支援（台風・地震後の屋根修理）

補助金の申請には、事前の建物診断や指定業者の利用が必要な場合が多いため、早めの準備が重要です。

屋根リフォームは専門性が高く、施工品質が住まいの安全性に直結します。信頼できる事業者を選ぶためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

1）資格・実績の確認
建築士や外壁診断士などの資格を持つ事業者は、屋根の構造や劣化状況を的確に判断できます。施工実績が豊富な会社ほど、トラブル対応力も高い傾向があります。

2）保険・保証制度の有無
施工後の不具合に備えて、工事保証や瑕疵保険に加入している事業者を選ぶことが安心です。火災保険や地震保険との併用も可能な場合があるため、保険会社との連携も重要です。

3）地域密着型の対応力
地域の気候や建物特性に精通した事業者は、最適な屋根材や施工方法を提案できます。特に台風や積雪が多い地域では、耐風・耐雪性能に優れた屋根材の選定が欠かせません。

今後の屋根リフォーム市場は、環境配慮・スマート化・災害対策の3軸で進化していくと予測されます。住宅の価値を高め、安心・快適な暮らしを実現するためにも、屋根リフォームは「未来への投資」として捉えるべきでしょう。

屋根リフォームは、単なる修繕ではなく、住まいの性能向上と資産価値の維持・向上を目的とした重要な取り組みです。2025年のトレンドでは、環境性能・耐久性・デザイン性を兼ね備えた屋根材が主流となり、補助金制度の活用によって費用負担も軽減可能です。

信頼できる事業者と連携し、補助制度を賢く活用することで、安心・快適な住まいづくりが実現します。屋根のリフォームは、未来の暮らしを守る第一歩です。

執筆者：ファイナンシャルプランナー　信太　明
掲載日：2025/11/11