人生で災害(地震、噴火、津波、火災、水害、盗難)に遭遇確率はどの程度ありますか?

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目次
1.はじめに
2.災害と事故の遭遇確率
3.災害ごとの遭遇リスク
4.自動車事故・飛行機事故との比較
5.備えの重要性
6.おわりに
はじめに
私たちの人生には、予期せぬ災害や事故が突然訪れることがあります。地震、津波、噴火、火災、水害、盗難といった自然災害に加え、自動車事故や飛行機事故といった人為的なリスクも存在します。では、私たちはこれらの災害や事故にどれほどの確率で遭遇するのでしょうか?本稿では、政府機関や保険業界の統計をもとに、災害・事故の遭遇確率とその対策について考察します。
災害と事故の遭遇確率
1) 災害遭遇の確率
内閣府や気象庁の資料によると、南海トラフ地震や首都直下地震の発生確率は、今後30年以内に70%程度とされています。また、火山噴火や津波、水害も地域によっては高いリスクが存在します。保険会社の試算では、平均的な日本人が人生で何らかの災害に遭遇する確率は50%以上とされています。
2) 自動車事故の確率
令和5年の交通安全白書によると、日本では年間約30万件の交通事故が発生しており、死者数は約2,600人、負傷者数は約36万人にのぼります。1年間に交通事故に遭う確率は約0.2%、つまり500人に1人が事故に遭っている計算です。
3) 飛行機事故の確率
航空交通に関する政府資料によれば、日本の定期航空便における死亡事故発生率は「0.00」、つまり過去数十年間、定期便での死亡事故は発生していません。昭和60年の日本航空123便事故以降、乗客が死亡した事故はゼロです。統計的には、飛行機事故に遭う確率は約200万分の1とも言われています。
災害ごとの遭遇リスク
1) 地震
日本は世界有数の地震多発国です。特に太平洋沿岸や都市部では、地震による被害が甚大になる傾向があります。建物の耐震化や避難訓練が重要です。
2) 噴火
活火山が多い日本では、登山や居住地によっては噴火リスクが高まります。気象庁の監視対象火山は50以上あり、突然の噴火による被害も過去に多数報告されています。
3) 津波
津波は地震に伴って発生することが多く、沿岸部では特に注意が必要です。津波警報が発令された際の迅速な避難が命を守る鍵となります。
4) 火災
火災は日常生活の中で最も身近な災害の一つです。通電火災やガス漏れによる爆発など、地震と連動して発生するケースも多く、火災保険の加入は必須です。
5) 水害
近年の集中豪雨や台風の激甚化により、水害のリスクは全国的に高まっています。都市部では排水能力を超える雨量が短時間で降ることがあり、床上浸水や地下施設の浸水が問題となっています。
6) 盗難
災害時の混乱に乗じて発生する盗難もあります。避難所や空き家を狙った窃盗事件も報告されており、防犯対策も重要です。
自動車事故・飛行機事故との比較
1) 自動車事故との比較
交通事故は災害と同様に、誰にでも起こり得るリスクです。令和5年には交通事故による死者数が前年比で増加し、特に高齢者の致死率が高い傾向にあります。事故の類型では、正面衝突や歩行者横断中の事故が多く、全体の約6割を占めています。
2) 飛行機事故との比較
飛行機事故は発生件数が極めて少なく、特に定期便においては死亡事故がほぼ皆無です。航空機の安全性は年々向上しており、事故率は10年ごとに半減しているという研究もあります。飛行機事故は発生すれば被害が大きく報道されますが、実際の遭遇確率は極めて低いのです。
3) 感覚と現実のギャップ
飛行機事故は「怖い」と感じる人が多い一方で、実際には自動車事故の方が圧倒的に多く、死亡リスクも高いです。感覚的な不安と統計的な現実には大きなギャップがあることを認識する必要があります。
備えの重要性
1) 自助・共助・公助の考え方
災害や事故に備えるには、「自助・共助・公助」の三本柱が重要です。自助は自分自身で命を守る行動、共助は地域との助け合い、公助は行政による支援です。
2) 保険と備蓄
火災保険や地震保険、自動車保険への加入は、災害・事故後の生活再建に不可欠です。また、非常食や水、簡易トイレ、懐中電灯などの備蓄も、災害時の生存率を高める要素となります。
3) 情報収集とリスク把握
自治体が提供するハザードマップや交通安全情報を活用し、自宅や職場のリスクを把握することは、避難計画や事故防止に役立ちます。
おわりに
災害や事故は、誰にでも起こり得る現実です。人生の中で遭遇する確率は決して低くはなく、むしろ「いつかは遭う」と考えておく方が現実的です。特に自動車事故は日常的に発生しており、飛行機事故のような非日常的なリスクよりも身近な脅威です。だからこそ、事前の備えが命を守る鍵となります。自分と家族の命を守るために、今できることから始めてみましょう。
執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/11/11