罹災証明書とは?メリットや申請方法、被災証明書との違いを解説

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台風や地震、集中豪雨などの自然災害によって、大切なマイホームが被害を受けてしまったとき、生活再建のために非常に重要な役割を果たすのが「罹災証明書(りさいしょうめいしょ)」です。

「名前は聞いたことがあるけれど、具体的にどのようなメリットがあるのか」「火災保険の請求に必要なのか」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、罹災証明書の基本的な概要から、発行されることによるメリット、被災証明書との違い、そして具体的な申請手順について解説します。災害は予期せず起こるものです。いざという時にスムーズに手続きが進められるよう、正しい知識を身につけておきましょう。

目次

1.罹災証明書(りさいしょうめいしょ)とは何か?
2.なぜ罹災証明書が必要なのか?そのメリット
3.罹災証明書と被災証明書の違い
4.罹災証明書の発行対象と認定の基準
5.罹災証明書の申請方法と注意点
6.罹災証明書で受けられる主な支援制度
7.火災保険や税制優遇との関係
8.調査の流れと再調査の可能性
9.電子申請や自治体連携の最新動向
10.災害に備えて罹災証明書の知識を持とう

 罹災証明書(りさいしょうめいしょ)とは何か?

罹災証明書とは、地震や台風、洪水、火災などの災害によって「住まい」がどの程度の被害を受けたのかを、各市区町村が調査を行い、その被害の程度を公的に証明する書類のことです。

この証明書は、行政からの様々な支援を受けるための「パスポート」のような役割を果たします。被害の程度は「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」などの区分で認定され、その認定結果に基づいて受けられる支援の内容が決まります。

なぜ罹災証明書が必要なのか?そのメリット

被災した直後は片付けや修理に追われますが、罹災証明書を早期に取得することには大きな意味があります。ここでは罹災証明書を取得する具体的なメリットや必要性について解説します。

罹災証明書は、公的機関が被害の事実と程度を客観的に証明する唯一の書類です。これを取得することで、主に以下のような支援制度や優遇措置を受けることが可能になります。

  • 被災者生活再建支援金の受給 被害の程度に応じて、最大で300万円の支援金が支給される制度の申請に必要です。
  • 住宅の応急修理制度の利用 日常生活に不可欠な部分(屋根、トイレ、台所など)の応急的な修理費用を自治体が一部負担してくれる制度です。
  • 仮設住宅や公営住宅への入居 住居を失った場合、優先的に公的な住居へ入居するための証明となります。
  • 税金や公共料金の減免・猶予 固定資産税や国民健康保険料の減免、電気・水道料金の支払い猶予などの措置を受ける際の根拠資料となります。
  • 各種融資の優遇 住宅金融支援機構による災害復興住宅融資など、低金利や有利な条件での融資申し込みに利用できます。


このように、罹災証明書は生活を立て直すための金銭的な負担を軽減する多くの制度と結びついています。

罹災証明書と被災証明書の違い

よく混同されがちな書類に「被災証明書(被災届出証明書)」がありますが、これらは証明する「対象」と「目的」が明確に異なります。

罹災証明書 対象は「住家(居住している建物)」です。建物の被害の程度を認定するもので、これまで解説したような生活再建支援金の支給や仮設住宅の入居などに必須となります。
被災証明書 対象は「住家以外」です。例えば、カーポート、自動車、家財道具、店舗、倉庫などが該当します。建物自体への被害認定ではなく、単に「被災した事実」を証明するものです。


申請する際は、ご自身が何に対しての補償や証明を求めているのかによって、適切な書類を選ぶ必要があります。

罹災証明書の発行対象と認定の基準

罹災証明書は、市区町村の職員などの調査員が、内閣府が定める「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」に基づいて被害認定を行います。

主な認定区分は以下の通りです。

  • 全壊
  • 大規模半壊
  • 中規模半壊
  • 半壊
  • 準半壊
  • 準半壊に至らない(一部損壊)


これらの認定結果によって、利用できる支援制度の範囲や金額が変わってきます。被害が軽微であっても「準半壊に至らない(一部損壊)」として証明書が発行されることがあり、これによって保険請求や一部の支援制度がスムーズになるケースもあります。

罹災証明書の申請方法と注意点

災害発生後、罹災証明書を取得するための一般的な流れは以下の通りです。窓口の混雑を避けるため、また迅速な発行のために手順を確認しておきましょう。

  1. 被害状況の記録(写真撮影) 片付けや修理を始める前に、必ず被害状況を写真に収めてください。建物の全景(4方向から)、被害箇所の詳細(アップと引き)など、被害の全体像と詳細がわかるように撮影します。これが調査の重要な判断材料となります。
  2. 申請書の提出 市区町村の窓口、郵送、あるいはオンラインで申請書と本人確認書類を提出します。
  3. 現地調査の実施 自治体の調査員が現地を訪問し、被害状況の確認を行います。(被害が軽微な場合など、写真のみで判定される「自己判定方式」が採用されることもあります)
  4. 証明書の発行 調査結果に基づき、認定区分が記載された罹災証明書が発行されます。


申請の注意点として、災害直後は窓口が非常に混雑します。また、時間が経過すると被害と災害の因果関係の証明が難しくなるため、可能な限り早めに申請を行うことが重要です。

罹災証明書で受けられる主な支援制度

罹災証明書を取得することで、以下のような支援制度が利用可能になります。

  • 被災者生活再建支援金(最大300万円)
  • 住宅の応急修理制度(最大70万6,000円)
  • 仮設住宅の提供(賃貸型・建設型)
  • 災害復興住宅融資の利用
  • 障害物除去の支援(最大13万7,900円)


支援の内容や上限額は自治体や災害の規模によって異なるため、詳細については各自治体の担当窓口へ相談することが大切です。

火災保険や税制優遇との関係

「罹災証明書がないと火災保険や地震保険は請求できないのですか?」という質問をよくいただきますが、民間の保険会社への請求において、罹災証明書は必ずしも必須ではありません。

しかし、提出することで以下のようなメリットが生まれる場合があります。

  • 被害証明の補強 保険会社に対して、公的機関が認めた被害であることを客観的に示せるため、審査がスムーズに進むことがあります。
  • 税制上の優遇措置 所得税の雑損控除や災害減免法による税金の軽減、住民税の減免、公共料金の支払い猶予などを受ける際の公的な証明として活用されます。


なお、保険金請求自体は、罹災証明書の発行を待たずに行うことが可能です。まずは保険会社や代理店、または専門の申請サポート業者へ相談することをおすすめします。

調査の流れと再調査の可能性

自治体による被害認定調査は、通常以下のステップで行われます。

  1. 第一次調査 外観を目視で確認し、建物の傾きや外壁の損傷などをチェックします。
  2. 第二次調査 第一次調査の結果で判断が難しい場合や、申請者からの希望がある場合に、建物の内部に立ち入って詳細な損傷を確認します。


もし、発行された罹災証明書の認定結果(「半壊」など)に納得がいかない場合は、市区町村に対して「再調査」を依頼することができます。その際は、被害の事実を証明する追加の写真や資料を添えて申請を行うことで、認定区分が見直される可能性があります。

電子申請や自治体連携の最新動向

近年では、被災者の負担軽減と手続きの迅速化を目指し、デジタル技術を活用する自治体が増えています。

  • オンライン申請の普及 マイナンバーカードなどを利用し、スマホやPCから申請できる自治体が増加しており、窓口に出向く負担が軽減されています。
  • ドローンやAIの活用 広範囲の被害状況をドローンで撮影したり、AI画像解析を用いて被害認定をサポートしたりする取り組みが進んでいます。
  • 損保会社との連携 損害保険会社の調査結果を自治体が活用したり、逆に自治体のデータを保険請求に活かしたりする連携も一部で始まっています。これにより、調査の重複が防がれ、より早く証明書が手元に届くようになりつつあります。

災害に備えて罹災証明書の知識を持とう

災害はいつ起こるかわかりません。被災してしまった時、生活を再建するための第一歩となるのが罹災証明書です。

どのような支援が受けられるのか、申請には何が必要なのかを事前に知っておくことで、いざという時に冷静に行動できます。お住まいの自治体のホームページや防災ガイドブックを定期的に確認し、万が一の備えをしておきましょう。

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執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/10/7