地震保険で津波被害は補償される?事例と補償額、損害認定の仕組み

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四方を海に囲まれた日本において、大規模な地震に伴う津波のリスクは避けて通れません。津波は一瞬にして住宅を流失させたり、室内の家財をすべて水浸しにしたりするなど、極めて甚大な損害をもたらします。

多くの人が加入している火災保険ですが、実は火災保険の「水災補償」では、地震を原因とする津波の被害をカバーすることはできません。沿岸部にお住まいの方はもちろん、河川の遡上による浸水リスクがある地域の方にとっても、地震保険への加入は生活再建のための生命線となります。

この記事では、地震保険が津波被害をどのように補償するのか、具体的な支払い事例や認定基準、受け取れる補償額の仕組みについて詳しく解説します。

目次

1.地震保険が津波被害を補償する仕組み
2.建物と家財の補償範囲と契約のルール
3.津波被害の損害を判定する「4つの認定区分」
4.住宅の流失から浸水まで!津波による具体的な補償事例
5.補償額の算出方法と知っておくべき注意点
6.公的支援制度との併用と税制メリット
7.まとめ:津波の脅威に備えて地震保険の再確認を

地震保険が津波被害を補償する仕組み

地震保険は、地震・噴火、そしてそれらに起因する津波による損害を補償するための専用の保険です。

一般的な火災保険の水災補償では、台風や豪雨による洪水は対象になりますが、地震による津波被害は免責(補償対象外)とされています。そのため、津波によって家が流されたり、浸水したりした際に保険金を受け取るには、必ず火災保険に付帯する形で地震保険を契約していなければなりません。この保険は政府と民間保険会社が共同で運営しているため、万が一の巨額な支払いにも対応できる公共性の高い仕組みとなっています。

建物と家財の補償範囲と契約のルール

地震保険の対象は「建物」と「家財」に分かれており、それぞれで契約が必要です。

  • 建物の補償:居住用の住宅が対象です。
  • 家財の補償:家具、電化製品、衣類などが対象です。ただし、自動車や30万円を超える貴金属・美術品、通貨などは補償されない点に注意してください。

地震保険の契約金額は、主契約である火災保険の金額の30%~50%の範囲内で設定します。上限額は建物が5,000万円、家財が1,000万円と法律で定められています。

津波被害の損害を判定する「4つの認定区分」

地震保険は、実際の修理費用を積み上げるのではなく、損害の程度を4つの区分に認定して定額で支払う仕組みです。

  • 全損:保険金額の100%を支払い
  • 大半損:保険金額の60%を支払い
  • 小半損:保険金額の30%を支払い
  • 一部損:保険金額の5%を支払い

損害が「一部損」の基準に満たない場合は、保険金は支払われません。津波の場合、浸水の高さや建物の主要構造部(柱、壁、基礎、屋根など)の損傷度合い、流失した床面積の割合などによって判定されます。

住宅の流失から浸水まで!津波による具体的な補償事例

実際にどのような被害が認定されるのか、過去の地震保険の支払い事例を紹介します。

  • 津波による住宅の流失(全損) 津波に飲み込まれて住宅が土台ごと流失してしまった場合、建物の地震保険金額の100%が支払われます。家財も同時に失われていれば、家財分も全額支払われます。
  • 床上浸水による家財の損壊(大半損・小半損) 津波が室内に浸入し、家具や家電製品が泥水に浸かってしまったケース。家財全体の損害割合が一定基準(例えば30%以上や60%以上)を超えると、それぞれの区分に応じた保険金が支払われます。
  • 津波に伴う火災(全損) 津波によって漂流物が衝突したり、電気系統がショートしたりして火災が発生し、家が焼失した場合。これも地震由来の損害として地震保険の対象となります。
  • 地盤面から45cmを超える浸水(一部損) 建物自体の構造に大きなダメージがなくても、津波による浸水が地盤面から45cmを超えた場合、一部損として保険金額の5%が支払われる可能性があります。

補償額の算出方法と知っておくべき注意点

受け取れる補償額は、ご自身が契約した保険金額に認定区分の割合を掛けて算出します。例えば、家財の地震保険を500万円で契約しており、小半損と認定された場合は150万円(30%)が支払われます。

ただし、以下のケースは補償の対象外です。

  • 門、塀、垣、石灯籠など、建物本体ではない付属物のみの損害
  • 地震(津波)発生から10日以上経過した後に生じた損害
  • 自動車やバイクの被害(これらは車両保険などの対象です)
  • 盗難や紛失による被害

公的支援制度との併用と税制メリット

大規模な津波被害に遭った際は、地震保険とは別に「被災者生活再建支援制度」による公的支援(最大300万円)を受けられる場合があります。地震保険金と合わせることで、より確実に生活再建の資金を確保できます。

また、支払った地震保険料は所得税・住民税の控除対象となります。毎年の税負担を軽減しながら、巨大な津波リスクに備えることができる合理的な制度です。

まとめ:津波の脅威に備えて地震保険の再確認を

津波は一度発生すれば、個人の力では防ぎようのない甚大な被害をもたらします。特に沿岸部に近い地域や、ハザードマップで浸水予測が出ている地域にお住まいの方にとって、地震保険は欠かせない備えです。

ご自身の加入状況が「建物と家財の両方がカバーされているか」「補償額の設定は十分か」を今一度確認してみてください。万が一の際、迅速に生活を立て直すための準備をしておくことが大切です。



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執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/10/7