地震保険の相場はどれくらいですか?

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目次

1.はじめに
2.地震保険の仕組みと特徴
3.地震保険料の相場
4.保険料に影響する主な要素
5.都道府県別の保険料の違い
6.地震保険の補償内容と注意点
7.おわりに

はじめに

日本は世界有数の地震大国です。阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震など、過去の大規模地震が私たちに与えた教訓は数多くあります。こうした災害に備える手段の一つが「地震保険」です。しかし、「実際にどれくらいの保険料がかかるのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、地震保険の相場や保険料に影響する要素、地域差、補償内容などをわかりやすく解説します。これから地震保険の加入を検討している方にとって、判断材料となる情報を提供します。

地震保険の仕組みと特徴

地震保険は、火災保険とセットで契約することが原則です。単独では加入できません。これは、地震による火災や津波、噴火などによる損害が火災保険では補償されないため、地震保険でカバーする必要があるからです。

また、地震保険は民間保険会社と政府が共同で運営しており、保険料や補償内容は法律に基づいて定められています。つまり、どの保険会社で契約しても、基本的な保険料や補償内容は同じです。

地震保険料の相場

地震保険の保険料は、建物の構造や所在地、保険金額によって異なります。以下は、2025年時点での一般的な保険料の目安です。

-木造住宅(H構造):年間保険料は、保険金額1,000万円あたり約1万5,000円〜3万円程度
-非木造住宅(T構造):年間保険料は、保険金額1,000万円あたり約5,000円〜1万5,000円程度

たとえば、東京都内の木造住宅で2,000万円の地震保険に加入する場合、年間保険料は約3万円〜6万円程度となります。これに対し、鉄筋コンクリート造のマンションであれば、同じ保険金額でも保険料は半額以下になることもあります。

保険料に影響する主な要素

地震保険の保険料は、以下のような要素によって決まります。

-建物の構造
木造(H構造)か非木造(T構造)かで大きく異なります。木造は地震に弱いため、保険料が高く設定されています。

-所在地(都道府県)
地震の発生リスクが高い地域ほど保険料が高くなります。たとえば、関東や東海、南海トラフ地震のリスクがある地域は高めです。

-保険金額
地震保険は火災保険の30〜50%の範囲内で設定されます。保険金額が高ければ保険料も比例して高くなります。

-免震・耐震性能
一部の保険会社では、耐震等級が高い建物に対して保険料の割引制度を設けています。最大で50%の割引が適用されることもあります。

都道府県別の保険料の違い

地震保険料は全国一律ではなく、都道府県ごとに異なります。これは、地域ごとの地震リスクを反映しているためです。

たとえば、以下のような傾向があります。

-高額な地域:東京都、神奈川県、静岡県、愛知県など(南関東・東海地域)
-中程度の地域:大阪府、兵庫県、福岡県など
-比較的安価な地域:北海道の一部、東北地方の内陸部、四国の一部など

このように、同じ建物構造・保険金額でも、地域によって年間数万円の差が出ることがあります。引っ越しや新築を検討している方は、地震保険料も考慮に入れるとよいでしょう。

地震保険の補償内容と注意点

地震保険は、地震・噴火・津波による損害を補償しますが、火災保険とは異なる点がいくつかあります。

-全損・大半損・小半損・一部損の4段階で損害認定され、それに応じて保険金が支払われます。
-実際の損害額が全額補償されるわけではないため、生活再建のための「支援金」としての性格が強いです。
-家財にも保険をかけることが可能ですが、建物とは別に契約が必要です。
-免責金額(自己負担額)はなしですが、保険金額の上限があるため、資産全体をカバーするには不十分な場合もあります。

また、地震保険は政府の再保険制度により、支払総額に上限(2025年時点で約12兆円)が設けられています。大規模災害時には、保険金が削減される可能性もある点に注意が必要です。

おわりに

地震保険は、万が一の災害時に生活を立て直すための重要な備えです。保険料は決して安くはありませんが、地震リスクの高い日本においては、安心を買うための必要経費とも言えるでしょう。

保険料の相場を知り、自分の住まいやライフスタイルに合った補償内容を選ぶことが大切です。特に新築や引っ越しを検討している方は、建物構造や地域による保険料の違いも考慮しながら、賢く備えを進めていきましょう。



執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/10/23