火災保険を利用したら、保険料は上がりますか?

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目次

1.はじめに
2.火災保険の基本的な仕組み
3.火災保険と自動車保険の違い
4.保険料が上がるという誤解
5.実際に保険料が上がるケースとは?
6.地域リスクによる保険料の変動
7.契約終了となる条件
8,保険金請求の回数制限はある?
9.保険料改定の背景
10.保険料を抑えるための工夫
11.保険利用時の注意点
12.まとめと今後の備え

はじめに

火災保険を使ったら、次回の保険料が上がるのではないか――そんな不安を抱える方は少なくありません。この記事では、火災保険の仕組みや保険料への影響について、誤解されがちなポイントを中心に解説します。

火災保険の基本的な仕組み

火災保険は、火災だけでなく台風・水害・落雷・雪害など、自然災害による損害を幅広く補償する保険です。契約期間中であれば、補償限度額に達しない限り何度でも保険金請求が可能です。

火災保険と自動車保険の違い

1.自動車保険には「等級制度」があり、事故を起こすと保険料が上がります。
2.一方、火災保険には等級制度がなく、保険金を請求しても保険料が直接上がることはありません。
3.つまり、火災保険を使ったからといって、次年度の保険料が高くなることは基本的にないのです。

保険料が上がるという誤解

火災保険を使うと保険料が上がるという誤解は根強くありますが、これは自動車保険との混同によるものです。保険会社の多くは、個人の請求履歴を保険料に反映していません。

実際に保険料が上がるケースとは?

1.契約更新時に、地域の災害リスクが高まった場合。
2.建築資材の高騰などにより、再調達価額が上昇した場合。
3.補償範囲を広げた場合。


これらは保険の使用履歴とは無関係に保険料が変動する要因です。

地域リスクによる保険料の変動

近年、台風や豪雨などの自然災害が頻発しており、地域ごとのリスク評価が見直されています。水災リスクが高い地域では、保険料が上がる傾向にあります(損害保険料率算出機構による料率改定)

契約終了となる条件

1.建物が「全損」と判定された場合。
2.一度の事故で保険金額の80%以上が支払われた場合。


このようなケースでは契約が終了し、再加入が必要になります。

保険金請求の回数制限はある?

火災保険には使用回数の制限はありません。ただし、同じ箇所への再請求には、前回の修理が完了していたことの証明が必要です。修理を怠った場合は、再請求が認められないことがあります。

保険料改定の背景

保険料の改定は、主に以下の要因によって行われます。

1.自然災害による保険金支払いの増加。
2.建築費・修理費の高騰。
3.損害保険料率算出機構による参考純率の改定。


これらは保険会社の経営安定のために必要な措置です。

保険料を抑えるための工夫

1.建物の構造や築年数に応じた適正な保険金額の設定。
2.補償範囲の見直し。
3.地域の災害リスクを踏まえた契約内容の調整。


これらを定期的に見直すことで、無駄な保険料を抑えることが可能です。

保険利用時の注意点

保険金請求の際は、以下の点に注意しましょう。


1.被害状況の写真や修理見積書などの書類を準備する。
2.保険会社への連絡は速やかに行う。
3.契約内容を事前に確認し、免責事項に該当しないかをチェックする。

まとめと今後の備え

火災保険を使っても、保険料が上がることは基本的にありません。ただし、契約更新時には地域リスクや物価変動などにより保険料が変動する可能性があります。正しい知識を持ち、定期的な見直しを行うことで、安心して火災保険を活用できます。


執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/10/3