火災保険、地震保険の保険補償金は確定申告が必要ですか?

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目次
1.災害時の保険金、税務処理はどうなる?
2.原則は「非課税」だが、例外もある
3.確定申告が必要なケースとその手続き
4.保険金を受け取ったら、まず税務確認を
災害時の保険金、税務処理はどうなる?
火災や地震などの災害に見舞われた際、頼りになるのが火災保険や地震保険です。これらの保険に加入していれば、損害に応じた補償金を受け取ることができます。しかし、補償金を受け取った後に気になるのが「税金」の問題です。確定申告は必要なのか?課税対象になるのか?この疑問は、個人・法人を問わず多くの方が抱える悩みです。
本記事では、火災保険・地震保険の補償金に関する税務処理の基本を、国税庁の情報や専門家の見解をもとにわかりやすく解説します。
原則は「非課税」だが、例外もある
まず結論から言えば、火災保険・地震保険の補償金は原則として非課税です。これは、保険金が「損害の補填」であり、所得の増加ではないとみなされるためです。例えば、火災で家屋が焼失し、その修復費用として保険金を受け取った場合、その金額は所得税の課税対象にはなりません。
また、贈与税もかかりません。自分が契約者である保険から受け取る金額は、贈与とはみなされないためです。
しかし、以下のような例外的なケースでは課税対象となる可能性があるため注意が必要です。
1)修理を行わず現金として保有した場合
保険金を受け取ったものの、修理をせずに現金として保有した場合、その金額が「一時所得」として課税対象になる可能性があります。
2)保険金が損害額を超えた場合
損害額よりも多くの保険金を受け取った場合、その差額は利益とみなされ、一時所得として申告が必要です。
3.)事業用資産に対する補償
店舗や事務所など、事業用資産に対する損害補償として保険金を受け取った場合は、事業所得として課税対象になります。確定申告時には収入として計上し、修理費用などを経費として申告する必要があります。
4)積立型火災保険の満期返戻金
積立型の火災保険で満期返戻金を受け取った場合、支払った保険料を超える部分は「一時所得」として課税対象になります。
確定申告が必要なケースとその手続き
確定申告が必要となる主なケースは以下の通りです。
- 一時所得が年間50万円を超える場合
- 事業所得として保険金を受け取った場合
- 雑損控除を適用する場合
特に「雑損控除」は、火災や地震などの災害によって資産に損害を受けた場合に、所得から一定額を控除できる制度です。控除額は以下のいずれか多い方が適用されます。
- (損害金額+災害関連支出−保険金等)−(総所得金額等×10%)
- (災害関連支出−保険金等)−5万円
この控除を受けるには、確定申告書に必要事項を記載し、領収書などの証明書類を添付する必要があります。
保険金を受け取ったら、まず税務確認を
火災保険・地震保険の補償金は、原則として非課税ですが、使い方や受け取り方によっては課税対象となる場合があります。確定申告が必要かどうかは、以下のポイントで判断しましょう。
- 修理を行ったかどうか
- 保険金が損害額を超えていないか
- 事業用資産かどうか
- 積立型保険かどうか
不明点がある場合は、税務署や税理士に相談するのが安心です。申告漏れや誤った処理は後々のトラブルにつながるため、保険金を受け取ったら早めに税務処理を確認しましょう。
執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/10/23